ドラプロ見聞録

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ギール家の、夏休み

※擬人化前提です。
※ブログ未登場キャラ(ドラ)がいます。
強烈に放たれたボールが、組んだ腕を打ち付け、あらぬ方向へ飛んでいった。
「うっし、これで終わり!」
「アッシュ!ナイスです!」
灼熱の砂浜で、今日何度目かのスパイクを決めたアッシュは、後方から駆け寄ってきたヴァーユとハイタッチを交わす。
「あー!また負けたー!」
「ア、アッシュさん、強すぎ、ます。」
片や敗者二名――クーラとスズランは、がっくりと膝をついていた。
「ま、相手が悪かったってこった。」
勝ち誇ったように髪をかき上げ、敗者を一瞥する。
「むー!レシーブはほとんどできないくせに、スパイクはやたら強いんだからー!」
「できねえわけじゃねえ!ヴァーユに任せてるだけだ!」
「できないから任せてるんじゃん!」
ボールから口撃のやりとりに移った二人を、ヴァーユとスズランは並んで見ている。
「ア、アッシュさんとヴァーユさんの、コンビネーション、すごかった、です。」
「ありがとうスズランちゃん。でもスズランちゃんとクーラちゃんも、息ピッタリでしたよ。」
「い、いえ。お二人に比べたら、まだまだ、です。」
スポーツマンシップに則った讃え合いの横で、真逆の感想戦は続く。
「うるせえ!何ならもう一回やるか!」
「いいよー!今度はペア交代ね!あたしとヴァーユお姉ちゃん、アッシュとスーちゃん!」
「いいぜ。おいヴァーユ!スズラン!もう一回だ!」
「え、え?またやるんですか……!?」
「よーしアッシュ、負けませんからね!クーラちゃん!頑張りましょう!」
少女たちの戦いは、2回戦へ突入する。

そんな4人から少し離れたところでは、サングラスの女性がパラソルの影でビーチチェアに横になり寛いでいた。
「相変わらず、賑やかなことですわね。」
微笑とも苦笑とも取れるような笑みを浮かべながら、シルヴィアはサングラスを外した。
「夏の海というものは、得てして賑やかなものでございますよ。日の高いうちであれば、特に。そして彼女らなら、尚更。」
傍らに控えていたサファイアが、オレンジジュースを注ぎながら答えた。
シルヴィアは優雅な所作でそれを受け取ると、一つ溜息を漏らす。
「せっかくですから、ギールさまと参りたかったですわ。」
「仕方がありません。急にオラディアに来られなくなることは、ご主人様にはよくあることです。」
「ままなりませんわね。」
「ご主人様も悪いと思われたからこそ、こうして我々に休暇を下さり、
 変身の石に細工をして全員が長時間、こうして外へ出られるようにして下さったのでしょう。」
「それでも……まあ、仕方ありませんわね。」
少し拗ねたような表情を浮かべ、それを恥じたのか自らを納得させるように呟く。
「見ろ!サファイア!シルヴィア!できたぞ!」
そんな二人に、横から声がかかった。
「あらチェスカさん。大きなお城でございますね。」
「まあ、よくお作りになりましたこと。」
二人の感嘆を受けたチェスカは、自らが建築した砂の城の横に立ち、小さな体で大きく胸を張った。
「わたしは騎士だからな!城を作るくらいおちゃ……おちゃ……お茶の子サイダーだ!」
誇らしげに胸を張るチェスカに、サファイアが問いかける。
「ではこの城をもっと堅固にしてはいかがでしょう。さる東方の国では、堀と言って城塞の周囲に溝を作り、
 そこに水を張って外敵の侵入を防ぐと申します。」
「堀か!いいな!よし、水を汲んでくるぞ!」
提案を受けたチェスカは、バケツを片手に海へ飛び出していく。

入れ替わりに、コレットが海から戻ってきた。
「サファイア、水をくれ。さすがに疲れた。」
「こちらに。」
差し出したのは、水というよりぬるま湯に近い。種族的に「自らのの体温より冷たいものを食べない」というコレットは、
人型を取って多少マシにはなろうと冷たいものが苦手なのだ。
もちろん、塩分やミネラルも配合されたお手製のスポーツドリンクとでもいうもので、その点サファイアは抜かりない。
「どちらまで行っていらしたのです?」
「あの島まで泳いできた。」
シルヴィアの問いかけに、コレットは豆粒のようにしか見えない島を指さした。
「まあ、あんなところまで……」
「島が小さいからな、思ったほど遠くはなかったぞ。」
腰を下ろしたコレットに、サファイアがタオルを差し出した。
「また泳ぎに行かれるのですか?」
「そうだな……だが。」
立ち上がったコレットは、海とは反対の方を見遣る。
「その前に、無粋な輩を始末してこよう。」
そこには断続的に光を放つ、人だかりができていた。

「ソーニャちゃーん!こっちに視線お願い!」
「はいはーい!」
「ターニャちゃん!もっと寄ってくれるかな!」
「こうかな!」
「……二人とも、こっち向いて。」
『いえい!』
双子の少女が、無数のカメラに向かってポーズを決める。そこは、即席の撮影会になっているようだった。
「ソーニャちゃん、もうちょっと近くで撮っていいよね。って言うか撮るね。」
「ターニャちゃん、もっとお尻とか突き出してもらえないかな。」
群衆の要求が、次第にエスカレートしてくる。
「うーん、あんまり過激なのはー」「ちょっと勘弁してほしいかもー」
「まあまあそう言わずにさ。ほら、ファンサービスだと思っt……アビャッ!」
不躾なな男に、コレットの手刀が降り注いだ。
「お前たち!いい加減にしろ!」
コレットの一喝で、カメラマンたちはほぼ散り散りになった。
それでも最前列、なおカメラを超ローアングルで構える一人に、鉄槌を下すべくコレットがその後頭部に手刀を振り下ろし――
威力が乗りきるインパクトの直前、カメラマンの左手に、受け止められた。
一瞬の驚愕の後、コレットは再度攻撃に出る。腹部を狙った右足のミドルキック。
しかしカメラマンは、まるで背後のコレットが見えているかのように右肘を下げガード体制に入る。
ならばと強引に蹴りの軌道を上に向け、がら空きの頭部へハイキックを見舞う。
が、すんでのところでカメラマンは頭を下げて空を切らせる。
そんな攻防が数度続いたのち、カメラマンは向き直った。
Tシャツにフルフェイスのマスク、という異様な出で立ちのカメラマンは、静かに呟いた。
「……コレット、危ない。」
カメラマンから自らの名前を呼ばれたコレットは、深く嘆息しながらカメラマンの名を呼んだ。
「……エドワード、やはりお前か。」
「……大事なカメラが壊れたら、どうするの。」
カメラマン、改めエドは、首から下げた大きなカメラを検める。
「そんなに写真を撮ってどうする気だ。」
「……。……思い出に、残す。」
若干いつもより長い沈黙を、コレットは見逃さなかった。
「思い出ならもっとまともな写真を撮れ。どうせまた裏で売りさばくつもりだろう。没収だ。」
「……そんな。来月の新刊代はどうすれば。」
「知らん。まったく、ギールの悪い所ばかり吸収しおって。」
コレットは、双子に向き直った。
「お前たちも。あまり調子に乗るな。あとこいつを調子に乗せるな。」
「えーでもー」「ファンの皆に楽しんでもらうのが、アイドルの使命だし……」
「それでもだ。お前たちがムーンライトミダスでしてきたことは知っているが、場所を弁えろ。」
『はーい……。』
しょんぼりと反省するソーニャとターニャに、コレットは促す。
「分かったらお前たちも遊んで来い。そもそも今日は休暇。プライベートだろう。」
「それもそっかー」「プライベートは満喫しないとねー!」
コレットは、浜辺へ駆け出す双子を見送り……
「さて、フィルムを検めさせてもらうぞ。」
「……お手柔らかに、お願いします。」

「ク~ラ~!許さーん!」
「うわー!だからごめんなさいってー!」
コレットがパラソルのところへ戻ると、チェスカとクーラの追いかけっこが始まっていた。
どこから持ち出したのか、チェスカは大きな槍まで抱えている。
「どうしたんだ、あいつらは。」
「ああ、あちらを……」
シルヴィアの指さす先には、チェスカご自慢の砂の城……に、隕石でも落下したかのごとく、ビーチボールが突き刺さっていた。
「ああ……」
察しの付いたコレットが肩を竦める。
「クーラちゃんが思いっきりスパイクしたらー」「すっごい飛んでっちゃってー」
ソーニャとターニャが交互に説明する。
「あーもうお前ら!そこまでそこまで。」
アッシュがチェスカから器用に槍を奪い取り、割って入った。
「アッシュ!邪魔をするな!」
「お前はやり過ぎだ。クーラだって悪いと思ってるんだ。こんなもの持って追い回したら、ちゃんと謝れないだろ。
 ほら、クーラもちゃんと謝れ。」
「その…わざとじゃないの。ごめんなさい……。」
「ほら、クーラもこう言ってるんだ。寛容の心で許してやるのが、騎士ってもんじゃないのか。」
「むう……仕方ない。許そう。城が落ちるのは仕方ないことだ。」
と言いつつも、半分どころか4分の3くらいは涙目である。
「えーっと……わたし達も手伝いますから、もう一回直して作りましょう!」
「そ、そうです!お。お手伝い、します!」
ヴァーユの提案に、スズランが同調する。するとクーラも声を上げた。
「じゃああたしも手伝うー!」
「お前はやめとけ。今度はかばえない。」
「なんでさー!」
アッシュのツッコミに、クーラが不満の声を上げたところで、サファイアから声がかかった。
「皆さん。作業を始められる前に、お弁当になさいませんか。」
いつの間に用意したのか、パラソルの下には、豪勢なお弁当が並べられていた。
「わーいお昼だー!」
「あ!エド!先に食べるのはずるいんだぞ!」
「……早い者勝ち。」
「おめーら、ちゃんと手洗えよー。」
「夜はご主人様もいらっしゃいますでしょうし、バーベキューに致しましょうか。」
「あら、楽しみですわ。」
「いいですね!マスターもきっと喜びます!」

……こうして、ギール家の夏休みの一日過ぎていった。


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  1. 2015/08/05(水) 19:26:01|
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ギールとそのドラゴンたちが織り成す、愉快な(?)Dragon's Prophet茶番劇冒険記。

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